2012年7月4日水曜日

はた織りの記憶



トントン。カラリ。スー。トントン。カラリ。
私が子供の頃。いつも家ではこの音がしていた。
祖父が交通事故で亡くなったあと、寂しさを紛らわせるため祖母が始めた西陣織のはた織り。

祖母は、毎日脇目もふらず80歳を過ぎるまではたを織り続けていました。
小さい頃、勝手に仕事場に入って縦糸を切ってしまって何度も怒られた記憶があります。

染河内で、西陣織のはた織りを請け負っていたのは、祖母を含めて数人でしたが、今は、もう誰もされていません。
大人になって、祖母が織った西陣織の帯の写真を見せてもらい、初めて自分がすごく迷惑をかけていたことを知りました。

写真は、檀家さんで姫路市在住の染織家の西山まい美さんのはた織り機。

長年創作活動をされながら、姉妹でお母さんの看病をされていました。
そのお母さんも2年前に他界。
三回忌のお参りをさせていただいたら、お母さんのベットのあった、リビングが大きな機織り二台で占領されていました。


染織とは、生糸をあらかじめ染め上げてから織り込む工芸手法で、布ができあがってから染めるより遙かに手間がかかる。
はた織り機にあらかじめ通した縦糸に、一本一本染めた糸を通して、トントンとつめていく。
気の遠くなるような作業。

デザインして、糸を染め、反物にして、そのすべての作業に莫大な時間がかかっている。


「若い子は、布がこうやってできてるって知らないんです。紙みたいに出来るものだと思ってたって言った子がいました」

西山さんは、笑っていましたが、大規模な機械で作られ消費されていくだけの布しか見ていない人たちには、想像もつかないくらいの手間がかかっている。




西山さんの作品は、繊細なグラデーションがとても美しく、後染めかと見まがうばかりの複雑な模様の作品もあるのですが、写真では伝わりにくい。

ちょうど兵庫工芸展に出展された作品が、還ってきていたので写真を撮らせてもらいました。




グラデーションといっても、染めてするグラデーションと違って、色糸を少しずつ変えながら、一本一本織り上げて作り上げるのです。

私の写真では、伝わりにくいので
印刷会社の(株)北星社さんのページに西山さんの作品が紹介されていたのでリンクを張らせてもらいます。
http://www.robo.co.jp/hokusei/gallary/gallary/nishiyama/index.html

すばらしい作品の写真があります。是非ご覧ください。





今回見せていただいたのは、どちらかというと素朴な作品ですが、複雑でダイナミックな作品もたくさん手がけておられます。
書写にアトリエがあり、そちらで教室もされています。

梅雨の雨音の響く中、久しぶりにはた織り機を見て、なつかしく、ほろ苦い気持ちにさせていただいた良いお参りでした。





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