2012年10月4日木曜日

いのちをのこす



彼岸も大きく過ぎまして、風の強い台風が日本中を荒らしていきましたが、暑くも無く寒くも無い良い季節になってきました。

最近、少し思うことがあって書いてはやめ書いてはやめ、死との関わり、生との関わり。
僧侶として様々な人間模様に携わっているなかで、懸命に生きてそれでも死にゆく無常の世の残酷さ、悲しみと苦しみから生まれる優しさ。深く生きれば生きるほど苦しい。



花は咲き、散る。





虫たちも、自分の命が散ることを知ってか知らずか。




原点は、やっぱり人は、一人では生きていくことはできないし、一人で生きてはいけない。



なぜ咲くのか。散りゆくのに。
なぜ生きるのか、出会うのか、子を残すのか、愛するのか。



秋の色は悲しい。
紅葉も草花も、虫の声も。


他の動物より少し高度になってしまったゆえに、いずれ死ぬことを知り、なくす苦しみも知り、あえて苦しみの種に関わらぬ事も選べるけれど。

それでも苦しみを越える人を美しいと思う。

下の写真は、先日亡くなられた長野酒店の長野美和子さんが、生前書かれたもの。
スキルス胃癌が発見されて、たったの数ヶ月。若くして旅立たれた美和子さん。
でも、たくさんの人の中に心を残し、字を残し、作品を残し、子を残し。

そのすべての中に美和子さんを感じます。

自らを灯明とし、法を灯明とせよ。

灯明として生きて、法(教え)を残した釈尊が己の死を前に弟子達に述べられた言葉。

目の前の灯明(よりどころ)はいずれ消える定め、では自分が光って人のよりどころとなり、たくさんの灯明の集まった結果たる法をよりどころとせよ。

金や物を残すのでは無く、生きた証したる法を残す。



新しい命を授かって、私はきちんとこの子に命を伝えることが出来るのだろうか。
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4 件のコメント:

  1. 無常とは時に寂しげで何か切ない。
    家族との何気ないやりとりに幸せを感じるのも無情
    誰かと一瞬でも心が通じ合えて至福の時を感じるのも無情
    愛する人に出会えるのも無情
    真摯に生きる人に何かしてあげたいと思い動くそれも無情
    心の底から感動して幸せに思える時それも無情
    無常とは悲しさだけでなく何よりも幸せな時間も同じ
    一生懸命生きて輝くいのち 切なく儚いが輝くいのち
    それも無情、輝ける一瞬の連続の生でありたい。
    泥中から蓮は咲く事と同様に、不正や上手くいかない事が多い世の中でこそ綺麗に咲いて後に続く人へ見せなければいけない。儚くても必ず蓮のようにありたい・・・

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    1. 匿名さま>生きることは苦しみですが、真に生きるからこそ面白く楽しい。諸行は無常されど…我々は生きている!ですね。

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  2. いつの頃からか「欲」と言う物が薄らいでいった。
    あるがままで良いじゃないか。
    もしかしたら、それは諦めに近いものかもしれない。

    友人に「欲」は生きている証しだ!
    その「欲」を無くしてはいけない!!!
    と、お説教をされたことがある。
    それもそうかも・・・とも思った。

    命、、、長生きを望むわけではない・・。
    でも粗末にするのは違う。
    きっと自分の寿命と言う物があると思う。
    どんなに生きたくても叶わない人もいる。
    自ら断とうとしても叶わない人もいる。

    何か大きな大きな力が働いているのかなぁ、と思うこともある。

    私の人生では命を繋ぐことはできなかったけど、
    生きている限り、たくさんの命と関わり続けていく。

    何かを残したいという「欲」はあまりないけれど、
    人生を終える時、なんだか良かったよなぁ、と思えるように
    自分らしく生きていきたい。

    生きていきます。




    でも本当は、生きている限り
    もっともっと「欲」を出して、我武者羅に、一生懸命に
    いろんな事を頑張った方が良いのかなぁ・・・・。

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    1. 匿名さま>欲無くては、人は生きていけませんっていうのが真言宗のスタンス。
      欲を肯定して我欲におぼれず。

      命をのこすのは、なにも血の繋がった人だけにでは有りません。
      あなたと関わった人が、様々なことをあなたから観じ、それを生かしてくれれば良い。
      妻帯しなかった昔の僧侶は、弟子や人の心を育てることで命を遺していました。

      即物的な欲を感じないことを悲観することもないし、書かれているとおり有るがままで良いと思います。
      文章の中に熱い想いが感じられます。

      きっと、それを感じている方が周囲に居ますよ。

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